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尾池和夫
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活、行事、動物、植物という分類があって、季語と例句が解説されている。これらの季語
の一つひとつには日本人の共通概念がある。
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が多いというのが、歳時記に見られる大きな特徴である。その中でも夏の生活に関する季
語が圧倒的に多い。そこに暑さをしのぐための日本人の生活の知恵がぎっしり詰まってい
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涼しい音を感じる風鈴などの季語もある。
夏の時候に分類された季語の中では、盛夏、三伏、暑し、大暑、極暑、炎暑、溽暑、灼
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の文化なのである。実際の涼しさをもとめて団扇や扇子を使る。団扇は中国のものである
が、扇は平安時代の初頭に日本で創られたものであり、今では京都が産地として知られて
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重要な日本の知恵である。甘酒は、一夜酒(ひとよざけ)とも言われる。私は俳句を始め
た頃、夏の季語に甘酒があることを知って感銘を覚えた。甘酒は江戸時代から暑気払いの
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言われる所以である。よい材料を選び、温度計を用意して温度管理に手間をかけると、自
然の甘みが堪能できる。甘粥という呼び方もある。
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ることに、くれぐれもご注意をお願いしておく。
甘酒には抗酸化作用や美白効果があり、ブドウ糖や必須アミノ酸などをしっかり含んで
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ら夏の季語になったのであろう。
甘酒を作るときに使う糀は米を原料とする糀で、この糀という字は国字である。奈良時
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さて、焼酎も夏の季語である。安価で度数が高いので真夏の暑気払いに愛用されると歳
時記の説明にある。ここではノンアルコールの甘酒との比較で、思い切りアルコール度数
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って、現在は建設と開発が嵐のように押し寄せている。二〇一四年一〇月八日から、私は
貴州省を初めて訪問し、特産の茅台酒にも久しぶりに出会って、しっかりと味わうことが
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茅台酒は高粱を主原料とする貴州省特産の蒸留酒である。中国ではこのような蒸留酒を
白酒と呼ぶ。強い香りが特徴で、飲み干した後も香りを楽しむ。産地は貴州省北西部仁懐
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界の銘酒と言われるきっかけとなったのだろう。中国では「国酒」と称するようになった。
毛沢東がニクソン大統領と乾杯したり、周恩来が田中角栄と乾杯したことがニュースにな
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恩来が、風邪でも薬を飲まず茅台酒を飲んで治したと伝えられた。
産地の茅台では五年の歳月をかけて蒸留されている。古酒もあるという。清代の中期か
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茅台鎮は、貴州省の西北にある遵義市から鴨茅公路に沿って西北へ一二〇キロほど行っ
た赤水河畔にある小さな町である。河の西岸に高山が連なる険しい地形の地域で、茅台鎮
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る。茅台鎮は、海抜四〇〇メートルの雲貴高原にあり、気候は温潤で厳冬期でも氷点下二
度くらいである。この気候が茅台酒に用いられる特別の微生物に適している。
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国営の茅台酒廠(工場)が設立され、新しい醸造法が開発されて質が一定になり、生産量
も増えた。砕いた高粱と粒のままの高粱を混ぜ合わせて、一定の温度の水に一定の時間浸
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し、第二次蒸留でとった酒から必要な分量だけのこし、酒頭と酒尾はそのまま糟の中へ戻
し、引き続き穴蔵で発酵させ、一か月後にまた蒸留する。これを七回くり返す。鑑定に合
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茅台は昔からの塩の集散地であった。自貢の山では二千年前から塩を採っている。地下
一〇〇〇メートルから塩をとる。中国の塩の種類は豊富で、海塩、池塩、井塩、土塩、崖
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四川の料理人は、海外へ行くとき、四川の塩を携えて行く。四川省の塩のことを川塩と
いうが、その集散地である茅台では、商人の往来が多く、やがて裕福になった人たちが美
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舟を浮かべて酒をくむ風流な人がいたという。世界のどこにあっても、大地の生み出す恵
みは、その土地の歴史とともに、食材と美酒で語られるようになる。
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